漢字バカ200撰

漢字が好きなので、書と漢字の成り立ちから話を広げるブログ。広がらない時は、別のことを。

Money

僕の周りには、お金持ちの友達がたくさんいます。

 

振り返ると、同級生を見てみるとよくわかるのですが、

昔から良くも悪くも、自分に正直で愛嬌のある人間が多い。

 

お金持ちに囲まれていれば、

自分もお金持ちになれますよ。

 

そんな話を聞いたことがありますが、

僕は嘘だと思っています。

 

以前、父に「お金がないって、惨めだな。そうだろ?」

と、問われたことがあります。

正直、ピンときませんでしたので、とりあえず、

「そっか。」と相槌を打っておきました。

 

お金って一体なんなのか。

諸説ありますが、

「自分が社会でどれだけ役に立っているか。の指標。」

という解説が僕には半分くらいしっくりきました。

とはいえ、お金のない人が役立たずかというと、それも違います。

能力があっても、

それを活かすことのできない管理者がその人をマネージメントしていると、

実績を上げ、利益を上げ、

最終的に個人所得に影響を与えることが難しくなってきます。

自分が身を置いている職場というのは、

作業を提供し、労働意欲を高め、

生きる意味づけという価値を有意識無意識に関わらず、

それを認識させ、ひいては誰かの役に立っている。という矜持を植え、

具足として会社の規模が大きくなってゆく。

昔お世話になった会社の社長が、

お好み焼きをつつきながらそんなことを言っていたのを覚えています。

かなり昔の話ですから、今とは経済活動の背景も違います。

ですが、その分、法人としてのスタイルも多様化し、

自分に合った労働生活を選べるようになったことも、

現代らしくて、幸せなことだなぁ。と、感じます。

 

お金がついてこないと、気持ちも貧しくなるのか。

お金がたくさんあれば、気持ちも豊かにすることができるのか。

 

難しいところですね。

 

でも、貧しさは、悪ではありません。

善悪でけじめをつけたいのであれば、

貧しさに導くものが悪と言えます。

 

貧しさに導くもの。

 

それは、自分の心であったり、

自分から時間や労力を搾取するものであったり。

内なるところと外にあるところ、

ありとあらゆる場所にそれは潜んでいます。

簡単に言うと、死に金を作ることが悪なのでしょう。


僕も、お金で人に助けてもらったことが、何度も何度もあります。

助けてもらった分、自分が成功しなくては。

と、がむしゃらに仕事をして、幾らかでも返済に充てて、

苦労しながら誠意を示してゆこうと、日々を暮らしていたことがあります。

今もそうなのかもしれません。これは、性格でもあるのですが。

けれども、そんなある日、体を壊してしまった。

情けなくって、人にも会いたくなくて。外にも出たくなくなって。

そんな時、

「お前が苦しんだり、痛がっていたり、

そんな姿を見るために金を用意したんじゃない。

ゆっくり時間をかけて、

お前なりの幸せな姿であってくれればそれで充分なんだよ。みんな。

早く良くなれ。そして、無理するな。」

そんなLINEが来た時に、
目が覚めたような気がしました。

僕は、死に金を作ってしまうところだったのです。

 

この世のすべての人が、金持ちになれるわけではないし、

それはそれで、困ったことにもなる。

ただし、まずは、暮らしと、この命を維持してゆくこと。

そこから、誰にも迷惑をかけることがないと踏んで初めて、

富を目指したごくごく個人的な経済活動を行えば、

それでいいのだろう。

 

成功なんて、それぞれの成功があるのだから、

そもそも何が成功なのかなんてわからないし、

羨望という全く根拠のない物差しで測るから、

核心が全く見えなくなる。

だから、成功を誰よりも強く意識している人が、

本当の成功を手にしているところを、

僕は見たことがありません。

成功自体言葉の意味が曖昧ですよね。

この場合、それぞれの完成といった方がいいのかもしれません。

 

今の僕には、夕食の明かりが灯っていて、
その明かりの下に、家族が揃って食事をしている。

ただそれだけのことに、とてつもない憧れを感じます。

 

お金とはまずはそんな、

何でもないと思われる、

ささやかな富をもたらしてくれるものではないでしょうかね。

 

それ以上の意味づけは、

人間が根本に持つ欲が動かしてゆくような気がしています。

 

そこに、欲の善悪がないことを、祈りつつ。