漢字バカ200撰

漢字が好きなので、書と漢字の成り立ちから話を広げるブログ。広がらない時は、別のことを。

「繫・繋」の漢字 I am very happy that I can connect to you. 〜あなたと繋がることができて、幸せ。〜

f:id:hokushin_myouken:20180323172224j:plain

・命をつなぐことが大事である。その表現とは?

ケイ(kei)、かける(kakeru)、つなぐ(tsunagu)

ケイと読む部分は、上の左の部分で、「ふくろ」を表していて、

「殳」は、杖のようなもので打つこと。

その「ふくろ」を紐で垂れ下げることを「繫」と言います。

 

f:id:hokushin_myouken:20180323181810j:plain

漢字では、成り立ちにおいて上下逆になったり、

左右逆になったりということが大変多いです。

垂れ下げる意味だと、このようなイメージになりますが、

文字を元にすると、

f:id:hokushin_myouken:20180323181734j:plain

こんな感じです。

書で起こしたのは旧字体ですが、

常用漢字外、人名漢字の文字で、今もたまに見かけます。

※ 白川静 人名字解より引用

 

この袋の中に入っていたものは「穀物」で、

袋に入れて、「脱穀」していたようです。

よって、残ったものを「殻」。やはり「殳」がついていますね。

穀物は、命を繫げるものだったので、

貴重であるものとの関係性を保つことを、

「繫ぐ」と表現しています。


・うっとうしいこともある。でも、それも、繫がり。

繫がる人が全部、自分が好きで、自分を好きな人ならいいのに。

そう考えてしまうこともあるのが、人ですよね。

人間の脳には、機能として、

他人と仲良くしたい。という本能が備わっているのだそうです。

「繫がり」のきっかけとしては、その本能によるところが強く、

結果としては、長く付き合ったり、すぐに合わなくなったり。

けれども、言い方が大変悪いかもしれませんが、

そうやって時間の篩(ふるい)にかけて行かなくては、

自分自身が生存の危機にさらされることも、

多分、脳は知っているのでしょう。

 

損得で人付き合いの基準を作るのは良くないことと言われています。

お付き合いしている最中、多くの人は、

そんなことへ意識は向いていないはずです。

 

「繫がる」という行動の中には、

「得する」という目的は最初から含まれていないので、

初動として、他人の興味に自ら興味を抱く。

という「こころうごき」が生まれ、

これが、「紐と袋」の結び目になるわけです。

「得しなきゃ」と、それが初動になったなら、

その結び目は、最初からゆるくて脆くて危ういものです。

 

ただひたすらに、その関係を楽しもうとするだけ。

時間が経って、形が変わって、疎遠になって、

結果として、損だったか、得だったか。

という設問がたまたま投げかけられ、

「どっちだったかなぁ。」と、考えるくらいで、

「ま、どっちでもいっか。」が、正解だな。

と、たくさんの繫がりへの経験を持っている人は、

そういった落とし所を用意しているものです。

いかにも人間らしい結論だと、僕は思います。

 

 

「損得」は「勘定」であって、「感情」ではないからです。

 

 

ただ、世の中には、悪い奴らもいっぱいいることだって事実です。

 

一人の人と、向き合う力は、

自分だけのエネルギーでは対応できないようになっています。

少しずつ、良い知恵や力を分けてもらえるような人々に出会い、

自分の活力とを合わせて、ようやくまた、一人と向き合うことができます。

「繫がり」の目的は、実は、ここにあります。

 

繫がりはうっとうしい。

でも、解けてゆくことも含めて「繫がり」と考えれば、

もう少し楽しく、楽に向き合えるかもしれませんね。

 

今日も、お付き合いいただき、ありがとうございます。