漢字バカ200撰

漢字が好きなので、書と漢字の成り立ちから話を広げるブログ。広がらない時は、別のことを。

「石」の漢字 steadfastness 〜匪石之心(ひせきのこころ)〜

 

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セキ(seki)、シャク(shaku)、コク(koku)、いし(ishi)

「厂(かん)」と、「口」を合わせた、会意文字です。

「厂」は山の崖の形です。

崖から突出している石のことを表現していますが、

「口」はその石を表すのではなく、

こういった大きな石には、霊験が宿っているとされ、

箱に入れた祝詞を捧げたことから、この文字になっています。

のちに、大きい小さいにかかわらず、

石にはこの文字を用いるようになりました。

 

「石」の個性

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小学校一年生で学習する、五画の文字

部首は「いし」

画数の少ない文字ですから、

バランスを取るのが大変難しい文字ですね。

楷書の場合は、あまり二画目を長くすると、

ブサイクになります。

一画目の起筆より、ちょっと出るくらいに収めましょう。

二画目に対して、口が、一画目の収筆内に書きます。

口は縦長にならぬように、どっしりと書きます。

 

匪石之心

「匪」は「あらず」。

否定を表します。

自分の心は、石のように転がることがない。

意志の強さ、強固さをいう、「詩経」の言葉です。

 

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石を用いた言葉は数々ありますが、

「意志」と「石」をかけたのか、

心の持ちようを表現するものが多いですね。

「石の上にも三年」

「一石を投じる」

「雨だれ石を穿つ」

など。

少しずつ、一歩ずつ、不撓不屈の心を持って。

 

僕は、諦めの悪い人間でもあります。

見苦しいくらいに。

毎日毎日、違う日がやってきて、

一日ずつが間違いなく堆積した自分が必ずそこにいて。

それと同じように、心も何らかが変化していて。

なのに、絶対変わらないものが、

自分を救おうと必死にもがいてくれていて。

 

どこか綺麗事に聞こえていたことが、

事実として目の前に現れると、

ああ、俺の心はきっと濁っていたんだな。

と、反省します。

 

ボブ・ディランの曲に登場する石は転がっているけれど、

それは、生き様が転々としているだけで、

心まで転がっているわけではない。

転がり続けることを覚悟するならば、

その覚悟という名の石の上に、心をひとところに置く。

 

思い返しながら、噛み締めながら、昨夜は写真を眺めていました。

 

この書を、何人の人々が、

書き手の僕とは違う気持ちで眺めてくれて、

何人の人々が、この酒を愛でてくれたのであろうか。

 

一時は、この書を纏う瓶が市場から消え、

僕の燈も消えかけたけれども、

何のために書いているのか。

ではなく、

書くことそのものに、意味付けしてゆく。

だから、書き続け、生き続けなきゃならないんだな。


今日も更新が遅くなりましたが、

お読みいただき、本当にありがとうございます。

どうか、穏やかな日曜日をお過ごしくださいませ。拝

 

◆◇「石」を含む苗字における当ブログの過去参考記事◆◇

 

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