「小」の漢字 little by little 〜ちいさく、すこしずつ〜
ショウ(shou)、ちいさい(chiisa-i)、こ(ko)、お(o)、すこし(suko-shi)
象形文字で、小さなのものが散乱している形です。
「ちいさい、すこし」の意味を持っているのは、
そのものの形が小さく、すくないから。
元になっている、「そのもの」とは「貝」を表し、
占いに使って、吉凶を示したり、
首飾りにして呪器にしたり、
やがて貨幣として使われたことから、
当時の人々には大変貴重なものだったので、
状態を表すために、文字として残しました。
※ 白川静 常用字解より一部引用
「小」の個性
小学校一年生で学習する、三画の常用漢字です。
部首は「しょう」。
簡単そうに見えるけれども、とっても難しい漢字です。
楷書で書くときは、なおさらそのハードルが上がります。
ポイントとしては、僕の場合ですが、
全く関係のない「羽を広げたコウモリ」をイメージして書きます。
シンメトリーに仕上げることが難しいので、
パッと見が生き生きとして見えてくるように意識して、
何度も書きます。
一歩一歩、少しずつ。
僕が、札幌で書道教室を開いて、七年が経ちます。
教える人間としては、まだまだひよっこです。
作家としても、本当にまだまだ未熟ですが、
生徒さんや、友人、家族に支えられて、なんとか続けられています。
僕が、自分の幸せについてうっすらと考え始めたのは、
十三年くらい前、横浜で暮らしていた頃でした。
ほんの些細なきっかけで、子供の頃から親しんでいた書が、
いろいろな人の目に触れ、その商品が多数販売され、
そこから、自分の居場所をすこしずつ作り上げることを始めました。
自分の書いたものが、誰かの役に立って、喜んでもらえる。
こんな仕事をずっとしてゆきたいと思いました。
はじめは、そんな希望だけでしたが、そのようにして自分が幸せになれたなら。
そんな風に考え始めもしました。
希望と、幸せは、必ずセットになっていると思っていたのですが、
現実はそうでもなく。というか、
僕がうまく自分の舵取りをできなかったので、
書けば書くほどに辛くなってゆきました。
希望とかけ離れていたのもあったけれども、
「カネ」に変えてゆくことが、本当に苦手でした。
今だに、請求書出してね。
と言われるのが本当に辛いです。
自信がないわけでもなく、お金に困っていないはずもなく。
たくさんのお金をもともと持っていて、テキトーにお金をもらえれば、
どんなに楽か。
けれども、それでは、プロではないのだ。
生み出す苦しみ。書くことの苦しみ。お金をいただくことの苦しみ。
作家という仕事の本質は、この三重苦。
この苦しみから解放されることとは、ただ一つで、
仕事量を徹底的に増やすこと。
生徒さんの顔を見ると、その三重苦から解き放たれます。
教える人間になるとは思ってもいなかったけれど、
いつも、救いを与えてもらっています。
も少し、楽になりたいな。と思い、今僕は、自分の作風を貫くのではなく、
我を殺す作風を身につけている最中です。
でも、その現場は圧倒的に仕事量が違う。
実際には、自分を殺しているのではなく、グゥゥゥっとスプリングのように、
縮めて力を溜め込んでいる。といった感じです。
その仕事の中で、自分の至らなさや未熟さを痛感する毎日です。
ほら、すこしずつ、一歩一歩、死なない程度に夢中で歩いていれば、
自分の望んだ「書道だけの暮らし」は手に入ったじゃないか。
あとは、歩きながら考えな。
そんな声が、聞こえてきそうです。
今夜も、お立ち寄りいただき、誠にありがとうございます。
では、また明日。拝
◇「小」を含む名前における当ブログの過去参考記事◆